令和8年(2026年)1月1日から、いわゆる下請法(下請代金支払遅延等防止法)が改正され、新たにいわゆる取適法(製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律)として施行されることとなりました。
取適法が適用された場合に何をしなければならないかということも大切ですが、これについては各所にわかりやすい解説があります。しかしながら、「そもそもこの取引に取適法が適用されるのか」という点がわかりにくく、ご相談も多くなっています。本ページでは、この点に絞って整理いたします。
まず適用対象となる取引は、①製造委託、②修理委託、③情報成果物作成委託、④役務提供委託、及び⑤特定運送委託の5類型です。結果として、多くの取引がこの5類型のいずれかに当てはまることになると思われます。
上記5類型のうち、③情報成果物作成委託と④役務提供委託については、その中でさらに、「プログラムの作成、運送、物品の倉庫保管及び情報処理に係るもの」と「それ以外」に分けられます(後述)。
実施しようとする取引が上記5類型にあてはまったとして、次にみるべきは、取引の当事者が「委託事業者」と「中小受託事業者」にあてはまるかです。
まず、原則論ですが、これについては、以下のとおり整理されます。なお、いずれも受託者は個人を含みます。
①委託者が資本金3億円超、かつ、受託者が資本金3億円以下の場合
②委託者が資本金1000万円超3億円以下、かつ、受託者が資本金1000万円以下の場合
③委託者が従業員300人超、かつ、受託者が従業員300人以下の場合
上記①~③のいずれかに該当すれば、その取引は「委託事業者」と「中小受託事業者」の間の取引となり、取適法が適用されます。思考の順序としては、まず①か②を検討し、どちらも当てはまらない場合に③が検討されることとなります。
次に、③情報成果物作成委託と④役務提供委託のうち、「プログラムの作成、運送、物品の倉庫保管及び情報処理に係るもの」以外については、別枠で以下のとおり整理されます。なお、いずれも受託者は個人を含みます。
①委託者が資本金5000万円超、かつ、受託者が資本金5000万円以下の場合
②委託者が資本金1000万円超5000万円以下、かつ、受託者が資本金1000万円以下の場合
③委託者が従業員100人超、かつ、受託者が従業員100人以下
つまり、③情報成果物作成委託、④役務提供委託のうち、「プログラムの作成、運送、物品の倉庫保管及び情報処理に係るもの」以外については、取適法が適用される範囲が拡大されていると整理いただいて良いかと思います。
カウントの対象となる従業員の定義や複数の類型にあてはまる取引が行われた場合等、検討すべき点は多々ありますが、公正取引委員会等が公表するリーフレット等を見ても理解が難しいと思われる、「取引類型」と「委託事業者」「中小受託事業者」に絞って上記のとおり整理いたしました。おそらく理解を難しくさせている原因は、「委託事業者」と「中小受託事業者」という当事者の定義そのものが、取引類型によって変わっている点にあると思われます。
したがって、「当社は委託事業者にあたるのか」という疑問を持たれたときは、まず、「やろうとしている取引がどの類型にあてはまるのか」を検討したうえで、「この取引との関係で当社は委託事業者にあたるのか」という検討を経ることが良いと思われます。